物語と拳法が好き@diethyl_ether
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百足は何も知らずに生きてこれたのです。蝸牛に食べられる夢は幾度となく見ましたが、実際は何かべたべたしたものせいで身動きがとれないだけでした。彼はまた確信してもいました。貪欲な蟻共は地面のつるつるしたこの場所にはいないだろうと。
希望というものがあったわけではありません。ただ彼はここで干からびて永遠に残るであろう美しい体のことを考えていたのです。特に起伏のある人生ではありませんでしたから、不満がなかったわけではありません。ですが、彼にとって傷のない体は自慢だったのです。 今にして思えばそこは大きな蜘蛛の巣によく似ていました。彼は勿論気が付いていましたが、もっと美しい比喩を探していたのです。 彼の予想に反して、体は原形を保ちませんでした。古くなった天井が彼の上に落ちてきたのです。 彼が最期に考えていたのは何でしょう。熱力学の第二法則なんかだったら洒落ていたかもしれません。勿論そんなことはないのですが。 |
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