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物語と拳法が好き@diethyl_ether
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2011/01/27 (Thu) 至誠
 没になった弁論大会用原案。



 「イレズミ」と聞いて何を思い浮かべるでしょう。「イレズミ」をしていると自衛隊は勿論、多くの職業に就く事が出来なくなります。また、保険の入会や公共施設の利用にも制約が生じます。
 表現や信教、思想等多くの自由が認められ人権の保障された我が国において、この様な差別が罷り通る理由とは何なのでしょう。

 先ず「イレズミ」と言っても多くの人は、実はその殆どを知らないのではないでしょうか。現在の日本における「イレズミ」の呼称にはよく知られたものが三つあります。墨を入れる「入れ墨」、「彫り物」、青を刺す「刺青」。
 多くの人が誤解と共に持っているイメージは、おそらく墨を入れる「入れ墨」だと思います。この「入れ墨」は刑罰的な意味が含まれ、現在のマイナスイメージに繋がっています。
 「彫り物」と言う言い方は、江戸時代から続く技術や芸術性を含むものでプラスイメージを持っている人が使います。
 近年のメディアでは青を刺す「刺青」が多くなり、あまり先入観を持たない中立的な人はこの言い方を知っているのではないでしょうか。

 ところで「イレズミ」の文化は古く、日本においては縄文時代から埴輪などで確認され、弥生時代以降も「魏志倭人伝」や「日本書紀」の中にも存在が確認出来ます。刑罰に「入れ墨」が取り入れられた後も、海洋を生活の場とする者や仏僧、アイヌ、琉球の人々の間では「イレズミ」の技術は継承されました。
 江戸時代中期には絵画や文学の発展と相俟って「彫り物」は技術、芸術性を共に発展させ、町人から武士に至るまで広く普及する一大文化となりました。
 明治には「イレズミ」を禁止する法律が出来、アイヌや琉球の「イレズミ」の文化を厳しく取り締まり、現在では殆ど見る事が出来なくなってしまいました。一方、日本の「彫り物」はアンダーグラウンドのものとなりましたが、高い技術と芸術性により海外でも高く評価され、来日した諸外国の王族が「彫り物」をしていく、という事もあったそうです。
 終戦後は「イレズミ」を禁止する法律は撤廃され、現在も法律の上では規制は存在していません。

 これ程の長い歴史と、世界に誇る芸術性と技術がありながら、また法による規制が存在しないのにも関わらず、何故「イレズミ」は不当な差別を受けるのでしょう。明治に始まる誤った認識や偏見が現在この差別を当たり前のようにしているのだと考えます。
 一人でも多くの人の誤解を無くし、「イレズミ」の社会的地位が回復出来るよう願っています。

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